過去の放送回

2026年10月31日放送

鶴岡市

杉並木と石段の先へ。羽黒山で歴史と自然にふれる参拝旅

今回取材したのは、出羽三山の一つ、羽黒山。樹齢を重ねた杉並木に囲まれた参道を歩くと、五重塔や歴史ある茶屋など、道中にも見どころが続きます。ガイドの案内を受けながら、山頂を目指しました。

月山・羽黒山・湯殿山を総称する出羽三山。羽黒山は「現在」、月山は「過去」、湯殿山は「未来」を表し、三山を巡ることは、死と再生をたどる「生まれ変わりの旅」とされています。

参道を案内してくれたのは、「いでは観光ガイドの会」の田村さん。山伏の最高位とされる「松聖」の称号を持つ、羽黒山に詳しいガイドです。取材した令和8年は、羽黒山にとって12年に一度の午年の「御縁年」。特に神様との縁を結べる年と伝えられているそうです。

田村さんに山伏の言葉を教わり、「おたーちー!」の掛け声に「うけたもー!」と応えて出発。随神門をくぐる前には、ほら貝の音色が響きました。山頂までは2446段の石段が続きます。

参道を包むのは、樹齢およそ400年の杉が400本以上並ぶ杉並木。石段には盃やひょうたんなど、33個の彫り物が隠れています。すべて見つけると願いがかなうという言い伝えもあり、足元を探しながら歩く楽しみが生まれます。

朱塗りの「神橋」の下を流れるのは、かつて参拝者が身を清めた祓川。その先には、樹齢1000年以上とされる「爺杉」がそびえます。国の天然記念物に指定された、羽黒山の杉並木の中でもひときわ大きな木です。

さらに進むと、杉木立の中に羽黒山の五重塔が現れます。現存する塔はおよそ600年前に建てられたもので、高さは29.9メートル。色を塗らず、装飾も施さない素木造りの姿が印象的です。周囲にほかの建物がなく、杉並木の中に塔が立つ景観も、田村さんが教えてくれた羽黒山ならではの見どころでした。

五重塔を後にして、山頂へ。参道で最も急な「二の坂」を登り切ったところで、「二の坂茶屋」に立ち寄りました。江戸時代の創業以来、参拝者の休憩場所として親しまれてきた茶屋です。

名物は、杵と臼でつく「力餅」。希少なもち米「でわのもち」を使った餅は、しっかりとした弾力と粘りが特徴です。庄内特産の青きな粉をまぶした餅からは、きな粉のやさしい甘さと米の風味が感じられました。自家製あんこの餅や抹茶もいただき、登り道の途中でほっとひと息つけました。

茶屋で働く方々も、毎日歩いて登り下りしているとのこと。参拝者を迎える日々の営みも、この参道を支えています。

茶屋を出てからも、石段の彫り物を探しながら歩きます。そして、2446段を登り切って山頂に到着しました。

山頂にある「三神合祭殿」には、月山・羽黒山・湯殿山の神様が合わせて祀られています。厚さ2.1メートルというかやぶき屋根は、近くで見ると迫力があります。参拝を済ませ、最後には繊細な切り絵の御朱印をいただきました。

杉並木の静けさ、歴史ある五重塔、茶屋で味わう力餅。そして石段を登り切った先での参拝。羽黒山は、歩く道のりそのものに発見がある場所です。足元に気をつけながら、自分のペースで巡ってみてはいかがでしょうか。

取材情報

二の坂茶屋

住所:鶴岡市羽黒町手向羽黒山33