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2026年8月15日放送

山辺町

山辺町・作谷沢で出会う、湧き水が育てたワサビと手打ち蕎麦の味わい

今回訪ねたのは、山辺町の山あいにある作谷沢地域です。豊富な湧き水と自然に恵まれたこの場所には、その清らかな水を生かした名産品があります。現地で見つけたのは、香り豊かなワサビと、そのおいしさを存分に楽しめる手打ち蕎麦でした。

作谷沢は、豊かな自然に囲まれた山間部の小さな集落。水車が見える風景も印象的で、“湧き水の里”として知られています。

この地域の名産のひとつがワサビです。案内していただいた農家の吉田さんによると、作谷沢では白鷹山系から流れてくる雪どけ水の恩恵を受け、豊富な湧き水に恵まれているのだそう。地域には12カ所の湧き水スポットがあり、そのひとつ「弁財天の湧き水」を利用してワサビを育てています。

ワサビ栽培で大切なのは、豊富な水量に加えて、清らかで水温が低く、安定した湧き水であること。沢の水ではなく、湧き水だからこそ、おいしいワサビになるといいます。吉田さんが「ここの湧き水は宝物」と話していたのが、とても印象的でした。

収穫したワサビは、ずっしりとした重み。大きく育つまでには、およそ1年半から2年かかるそうです。しかも収穫時期は限られず、状態を見ながら通年で収穫できるのも特徴のひとつです。

採れたてのワサビをそのままひと口いただくと、最初に感じるのはみずみずしさ。噛み進めるうちにツンとした辛みが広がりますが、ただ刺激が強いだけではありません。

思った以上に甘みがあり、香りも豊か。いわゆるチューブのワサビとはひと味違う、爽やかな辛みが際立ちます。鼻に抜ける香りが心地よく、ワサビ本来の風味の良さをしっかり感じられました。

吉田さんおすすめの食べ方は、お刺身やお蕎麦と合わせること。そこで向かったのが、近くにある蕎麦店「そば処弁天」です。

自然に囲まれた山間に店を構える「そば処弁天」は、2012年にオープンした蕎麦店です。作谷沢地区蕎麦生産組合が運営していて、樋口さんら5人の農家が、地元のワサビと蕎麦のおいしさを多くの人に知ってもらいたいという思いから始めたのだそう。営業は毎週金曜日から日曜日です。

店内は広々としていて、開放感のある落ち着いた雰囲気。開店前から並ぶ人もいるほどで、地元でも人気ぶりがうかがえます。

こちらの盛り蕎麦で特徴的なのが、ワサビの食べ方です。つゆに溶かすのではなく、蕎麦の上に直接のせていただくのがこの店のスタイル。実際に食べてみると、ワサビの爽やかな辛みと香りがぐっと際立ち、蕎麦そのものの風味もしっかり感じられます。

蕎麦は細めながらもコシがあり、のどごしも良好。おいしさの理由を伺うと、ここで採れた蕎麦をその日のうちに製粉し、朝に打って、茹でてすぐに提供しているとのこと。特別な飾りではなく、素材の鮮度と手仕事を大切にしていることが伝わってきます。

「そば処弁天」でもうひとつ味わいたいのが、刺身こんにゃくです。メニューは盛り蕎麦と刺身こんにゃくが中心という、潔い構成。そのぶん、一品一品へのこだわりが感じられます。

この日の刺身こんにゃくは、作りたて。見た目にもつややかで、口に入れるとプルンとやわらかく、なめらかにほどけていきます。こちらもワサビをつゆに溶かさず、少しのせて食べるのがおすすめ。こんにゃくのやさしい味わいに、ワサビの爽やかな辛みがよく合います。

おいしさの決め手は、水加減と煮る時間。粉1kgに対してどれだけ水を加えるか、その見極めが食感を左右するそうです。少なすぎると固くなり、多すぎるとやわらかくなりすぎるため、その絶妙なバランスがあのプルプル食感につながっています。

長く店を続けてこられた理由を伺うと、「お客さんに“うまかったよ”“また来るよ”と言ってもらえるのがうれしい」とのこと。地域の味を丁寧に届け続ける、人のあたたかさもこの場所の魅力です。

取材情報

そば処弁天

山辺町畑谷685