2026年6月20日放送
酒田港で出会う庄内の天然クロマグロ 水揚げの迫力と、港で味わう一貫の贅沢
今回取材したのは、クロマグロの水揚げで活気づく酒田港です。 この時期は例年以上の水揚げが続いているそうで、港には大物のクロマグロが次々と運び込まれていました。 さらに港沿いの「さかた海鮮市場」では、解体の様子や熟成したマグロの味わいまで堪能。庄内産マグロの魅力をたっぷり感じるひとときになりました。

酒田港に着いてまず目を引くのは、水揚げされたクロマグロの大きさです。目の前に運び込まれる魚体はどれも存在感があり、港の空気まで引き締まるような迫力があります。
この時期、酒田港で水揚げされるのはクロマグロ。現場の話では、今年は漁期の始まりも早く、今のところ昨年の2.5倍以上の水揚げがあるとのことでした。例年以上のにぎわいに、港全体が活気に包まれていました。
山形県では、クロマグロ漁の多くが「はえ縄漁」で行われています。幹縄に枝縄をつけ、その先の餌にかかった魚を引き上げる方法で、この海域に適した漁法なのだそうです。よく知られる一本釣りとは異なる方法ですが、現場に合った漁で丁寧に水揚げされていることが伝わってきました。

水揚げの現場で印象的だったのは、マグロをとても丁寧に扱っていたことです。作業は決して荒々しくなく、魚体をなるべく傷つけないよう、慎重に進められていました。
さらに、エラとハラワタを取り除き、しっかり冷やし込んで鮮度を保つ工夫も徹底されています。こうした細やかな積み重ねが、庄内産マグロの高い品質を支えているのだと感じます。
この日は特に大きな一尾も登場。重さはなんと160キロで、かなり大きい部類に入るそうです。大きくなるほど脂がのりやすく、値段も上がる傾向があるとのこと。尾のあたりの白さが脂のりの目安になるという話も、現場ならではの興味深いポイントでした。

クロマグロ漁は、ただたくさん獲ればいいというものではありません。年間で決められた漁獲量の上限があり、短期間でその枠に達してしまうこともあるそうです。
そのため、幼い魚を守りながら大型魚を中心に水揚げし、限られた枠の中で効率的に資源管理を行っています。港で見た迫力ある一尾一尾の背景には、海の恵みを未来につなぐための工夫がありました。
また、違法な流通を防ぐため、マグロには専用のバンドを装着して個体管理を実施。誰が、いつ水揚げし、どこへ渡ったのかという情報をたどれる仕組みになっているそうです。こうした先駆的な取り組みも、酒田のマグロへの信頼につながっています。

水揚げされたマグロは、その後港沿いの「さかた海鮮市場」へ。新鮮な魚介が並ぶこの場所で、特別にマグロの解体を見せていただきました。
大きな魚体が包丁によって切り分けられていく様子は圧巻です。背中の部分が現れるたびに、ひとつの命を無駄なくいただくことの重みも感じられました。漁師の仕事があり、解体する人の技があり、その先に私たちの食卓がある。そんな当たり前のようでいて尊い流れを、あらためて実感します。
そして、マグロは水揚げされてすぐが最もおいしいとは限らないそうです。3日から4日ほど待つことで、ちょうどよい食べ頃になるとのこと。市場を通って消費者のもとへ届く頃に、うまみがしっかり引き出されるよう考えられているのも興味深いところです。

解体を見たあとは、熟成させたマグロを実際にいただきました。並んだのは、赤身やトロを楽しめる握り。見た目からしてつややかで、期待が高まります。
まず印象に残ったのは、赤身の濃いうまみです。寝かせることで味がなじみ、うまみが凝縮されたような深いおいしさに。さっぱりしながらも物足りなさはなく、庄内産マグロの力強さを感じる味わいでした。
そしてトロは、口に入れた瞬間にやわらかくほどけるような食感。脂の甘みが広がり、思わずもう一貫食べたくなるような満足感があります。 さらに一緒にいただいたエビの汁物も、海のうまみがしっかり感じられる一杯でした。主役のマグロに寄り添いながら、港町らしい豊かさを添えてくれます。
庄内産マグロが高品質といわれる理由は、こうして現場を見るとよくわかります。漁師の目利き、丁寧な鮮度管理、資源を守る工夫、そして食べ頃を見極める流通の知恵。そのすべてが合わさって、あの一貫のおいしさにつながっていました。
さかた海鮮市場
酒田市船場町2丁目5−10



