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気候変動やコメ高騰 日本一の酒造りへ乗り越える壁

先日開催された日本酒の品評会で「金賞」の数が減少し、県酒造業界に波紋が広がっています。

気候変動や酒米の高騰のなか日本一の酒造りへの思いを取材しました。

「よく賞を取られている方が落とされたりとかそういった意味では皆さん非常にショックを受けている方もいらっしゃると思う。」
「ただ、私は山形県全体のレベルが下がったとは思っていなくて、テクニカルな問題が少し欠けていたと思っている。」

酒蔵の製造技術と品質向上を目指し、毎年開かれている全国新酒鑑評会。

2025年は全国から809点が出品され、「金賞」には202点が選出。

そのうち、県内の酒蔵の日本酒は8銘柄が選ばれました。

2024年と比べて「金賞」獲得数が減少。

金賞の数が一桁になったのは1997年以来28年ぶりです。

都道府県別で見ても8位と大きく順位を下げました。

その大きな要因の一つが大吟醸向けの品種として県が開発した酒造好適米「雪女神」の出来にあったといいます。

2年続けて高温障害を起こしています。

コメの一番成長期に一番大事な時期にものすごく高温になってしまうと、コメもへたってしまう。

そこで雪女神の基準をクリアできないコメになってしまうので非常に難しい。

組合によりますと、高温によりコメが硬くなったことで、水に溶けにくく、味が薄くなるなどの影響もあったといいます。

また、近年の鑑評会では甘さや香りが重要視されていてすっきりしていてキレのある「雪女神」は評価を受けづらいのも現状です。

さらに県工業技術センターに勤めた経験をもつ県酒造組合の小関敏彦顧問は、コメの価格高騰が今後、日本酒造りに打撃を与えるのではないかと懸念しています。

今酒造業界は一番危機的。

こんな爆上がりしている原料米はなかったので、価格設定をどうするか消費者をつなぐために信用問題などもある。

酒造業界の一番の課題は原料米対策。

食用米に比べ栽培に手間がかかるため価格を高く設定している酒米。

しかし品種によっては食用米の方が高くなる「逆転現象」が起きているともいいます。

「いまのところ県内で酒米から食用米に転換している農家は?」
「10パーセントちょっと。その程度ですむんだという話になっていて、他(の県)は全然違う。半分なくなったとか7割なくなったとか。うちはずっと(農家と)信頼関係を構築してきたので、その程度で済んだんだろうなと思っている。」

しかし、価格の先行きが読めない今の状況に対応するのは難しいと話します。

様々な課題に直面している日本酒づくり。

組合は環境に適応しながら県産日本酒のブランドを確立していきたい考えです。

「何がなんでも勝ちにいってはいない。ほどほどでいい。純米酒の品質をぐっと高めているし、雪女神の品質も高めているし。山形県のコメで純米大吟醸で金賞を取りたい。」