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「記録的大雨1年」農業を営む家族の再起
続いては特集「記録的大雨1年」です。一時孤立状態となった酒田市の大沢地区で懸命に農業を続けている家族を取材しました。
更地となった場所を見つめるひとりの男性。24年7月25日の大雨で被災し、家を失った相蘇孝行さん74歳です。
「こうやって見るとため息が出る。色々。生活していたことを思い出す。家が無くなると。」
市街地に通じる国道344号の崩落などで一時孤立状態となった、酒田市大沢地区。
その中にある北青沢は近くを流れる小屋渕川の水が溢れるなどして集落全体が土砂に覆われました。
「玄関の戸はバリバリ。窓は全部外れて、中が(土砂で)いっぱいになった。」
ここで暮らしていた相蘇さんも、自宅の一階部分に土砂が流れ込み、家の中の多くの物が泥に浸かる大きな被害を受けました。
被災後は、酒田市内の空き家を借りて生活していますが、この場所にはもう戻れないと考え、6月、市の補助を受け自宅を解体しました。
「先祖のこととか色々頭によぎった。申し訳ない気持ちが大きい。こうやって更地になってみると。」
7月8日。大沢地区の水田には、朝早くからコメ作りに励む相蘇さんの姿がありました。
一帯の農地にも川の水が溢れ、被害を受けましたが、地元農家などが協力し、土砂や流木を撤去。稲は力強く根付き、青々とした景色が広がっています。
被災当時は、農業を諦めかけた相蘇さん。ある存在が、背中を押してくれたと話します。
「災害ボランティアの皆さんが本当に。土砂などを撤去するだけでなく、精神的に助けられたのが大きい。皆さんから助けられてこうやってコメ作りができる。感謝感謝だ。」
現在、相蘇さんは93歳の母・朋子(ともこ)さんと、44歳の長男と3人で暮らしていますが、
市街地と北青沢の中間地点となる場所に家を新築していて、7月末に引っ越しを予定しています。
「(金銭的に)余裕があって建てるわけじゃない・・・容易ではない。だけど下ばかり向いていられない。」
「なるようにしかならない。くよくよしても仕方ない。頑張らないと!
いまだ大雨の爪痕を数多く残す大沢地区ですが、6月から被害を受けた住宅などの公費による解体作業も始まり、
一歩ずつ着実に、復旧・復興対策が進められています。
7月11日。北青沢の相蘇さんの自宅跡地を訪ねると、朋子さんが裏庭の畑で、野菜作りに汗を流していました。
「この場所に向かうと、体の調子が良くなる。やっぱり、今住んでいるところと、ここでは全然違う。本当はここに住みたいが将来性が無いし。」
「畑仕事をしているときはどんな気持ち?」
「満足感があります。」
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