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山形ニュースこの1年 記録的大雨
今年あった出来事をシリーズでお伝えする「山形この一年」。
1回目は県内に甚大な被害をもたらした7月の記録的大雨を振り返ります。
7月25日。
庄内・最上地域では激しい雨が同じ場所で降り続く線状降水帯が発生し、気象庁は酒田市と遊佐町を対象に「大雨特別警報」を発表しました。
川の水はあふれ、酒田市の八幡地域などに出されたのは警戒レベルで最も高い「緊急安全確保」。
こうした状況の中、市では高齢女性が避難途中で行方が分からなくなり、その後遺体で発見されました。
また酒田市には午後11時40分に、この日2度目となる大雨特別警報が発表される異例の事態に。
【住民】「玄関の戸はバリバリ窓は全部外れて土砂でいっぱいになった」
大沢地区の北青沢では道路や住宅などそのほとんどが土砂に埋まりました。
大雨の影響で被害を受けた建物は県内全域で2500軒以上。
各地の道路や農作物などに甚大な被害をもたらし、県の水害では過去最大となった。その被害額は1000億円を超えています。
こちらも大雨特別警報が出された戸沢村。
なかでも蔵岡地区では最上川の水があふれ地区一帯が水に飲み込まれました。
【佐藤一春さん】「驚き呆然としましたね。これ(家の中を)見て。」
この地区で生まれ育った佐藤一春さんの家ではありとあらゆるものが散乱し思い出の写真も泥をかぶりました。
こうした被害を受け、村で検討されたのは「防災集団移転」。
自然災害が発生し、また今後災害のおそれがある地域から安全な場所にまとまって移転を促す国の事業です。
この事業に賛同するかどうかを問うアンケートには、一春さんら地区に住む全世帯が回答しました。
【佐藤一春さん】「やっぱり愛着というのはある。できるなら住みたい。でも住めない。今回の大洪水でみんなえらい目にあってるから(蔵岡に)住みたくても住めないというのが現状」
揺れ動く心情のなか住民がだした答えは
【戸沢村 加藤文明村長】「おおむね90%の賛成がありますので集団移転に向けて進めていきます。」
今後村では住民に対して十分な説明をしたうえで「集団移転」を進めていく方針です。
【斉藤佑太】「新庄市の本合海です。こちら一帯は田園地帯なんですが、田んぼがあるはずのところに車が流れ込んでいます。4台こちらからは確認できます。そのうち1台はひっくり返ってしまっています。」
新庄市では20代の若き警察官2人が殉職しました。
あの日現場では何が起きていたのか。
県警によりますと2人は25日の午後11時31分に立ち往生した車からの救助要請を受け、交通整理をしていた大蔵村から緊急走行で現場に向かいました。
その時すでに近くを流れる新田川の堤防は決壊し現場は周辺よりも低い土地であったことなどから冠水状態に。
2人は11時33分ごろ冠水していた道路に到着・進入し流されたのはそれから5分後のことでした。
当時の道路状況や水深はどれほどだったのか。
現場を調査した山形大学の本山功教授に聞きました。
【山形大学 本山功教授】「現場で調査したのは街路樹と電柱に残されている浸水の痕を調べた。最大の水深が80センチから85センチぐらいのところに達したと考えている。パトカーは一番水量が増えて勢いがあるときに被災してしまったといえる」
本山教授はパトカーが水位の高い道路に進入した理由について2人から見て下り坂になっている道路の構造も関係していたのではないかと指摘します。
【山形大学 本山功教授】「パトカーが侵入してきた道路は下り坂になっていたので(前方に進むほど)だんだん水位が上がっていって最初はそんなに(水位が高く)ないと思っていたけれども最後まで行ったら引き返せない状況にまでなってしまったという感じではないか」
県警は毎年7月25日を警察職員の安全を考える日として制定し、殉職事案の伝承と災害警備の訓練などを行うとしています。